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3.ブラックホール山崎

  • tokuno0202
  • 2017年10月4日
  • 読了時間: 4分

コーヒー、ブラック飲めます?

徳乃は飲めません。

カフェラテがガソリンです。

旨いよね。

ちなみに紅茶は嫌いです。

美味しくないです。

赤ちゃんの頃から「牛乳ばっか飲むぜこいつ」って言われてるから、

牛乳が好きだからカフェラテがやめられないんだと思ってる。

別に飲めないこともないんだけど、

牛乳入ってるほうが旨いやんけ!

っていう思い。

(舌が、こ、子供じゃないんだからねっ!)

でも身長は伸びなかったよ。

昔から牛乳飲んでるのにね。

あんま運動してなかったからかな……。

徳乃ってけっこう身長平均に見られるんだよね。

平均って多分155〜160ぐらいだと思うけど。

でも実際の身長、152cm。

微妙〜〜〜〜〜〜。

でも「思ったより小さい」ってよっく、ほんっと言われる。

「態度がでけぇからじゃね?」とも言われたことある。

そんなことねぇべさ。

……デブってことか?

なめてんな…。

あ〜〜〜。

最近ちょっっっっっっとバタバタしてたから小説書けてないや〜。

バタバタ

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 手を横に伸ばしてもグラウンドはわたしの腕の中には収まりきらない。無限に広がるような世界がそこにあり、その空間だけまるで別次元であった。

 いや、わたしには別次元に見えているだけで本当は誰にでも入れるような場所だ。

 わたしがただ、臆病になっているだけ。

 目の前がぼやけてしまうまで目をしっかり開け続ける。瞬きをすばやく行い、できるだけ目の前の景色を瞳に焼き付ける。

 砂埃なんて気にしてられない。わたしは負けずに目をこらす。

 彼だって砂まみれになっているもの。わたしだって。

 砂まみれの原因は、彼の勲章である証。盗塁に成功した彼のおかげで試合の流れは代わり、チームの雰囲気も向上していた。

 盗塁成功率がチームで一番優秀な彼のユニフォームはいつも泥だらけである。バッティングの技術は少し乏しい彼だったが、ピッチャーの性格、投球を理解し分析して盗塁をすることは地味なのだがチームを支える大事な存在であった。

 「あ」

 彼が三振になってしまった。こちらからは彼の顔色を見ることができないが、顎を少し引いている。そんな彼を笑顔で向かい入れるチームメイトたち。そんな温かい世界に、見ているこちらもじんわり広がるような温かさで体中をぽかぽかさせる。

 そこに、マネージャーである女の子がペットボトルを彼に渡した。彼は何かを言いそれを受け取りベンチに座る。

 つい、唇をきゅっと閉じる。わたしはマネージャーという仕事に、とても憧れを感じていた。

 しかし、マネージャーになる勇気なんてわたしには無かった。

 大勢の男の子に囲まれた中で喋る勇気、大きな声で皆へ届けるエール、いつも笑顔で皆を陰から支える責任感のある仕事。わたしには、とてもこなせるとは思えない。

 弱いなぁ、と自分自身でも思う。しかし、彼のことがどうしても見たくて、つい彼の練習風景を見に行ってしまう。

 しかも1人では見る勇気が起きず、友達を連れて2人でだなんて。

 隣にいる彼女は、試合の流れに合わせてアクションを起こしている。わたしが思うマネージャーになれるような子だった。

 彼女を見ていると、彼女はわたしに気付いてこちらを向いた。にかっと笑い「今日もあの先輩、しっかり目に焼き付けておきなよ」と言う。

 「うん」

 そう人に言われると自分がストーカーみたいで恥ずかしく罪悪感に襲われた。しかし、臆病者のわたしにとってはそんなレッテル貼られて当たり前だと思っていた。

 ふと、彼を見るとこちらに顔を向けていた。

 「あ、こっち見てるね」

 「空見てるんでしょ?ほら、ちょっと曇り空だしこっち側」

 「いやいや、アンタを見てるんじゃない?」

 「そんなわけないって」

 お互いクスクス笑い合う。そんなことあったらいいのになって思い笑う。だが、本当はそんなことあるわけないという否定的な感情が大きい。

 遠く離れた彼の目線は、空。けれど、臆病者のわたしはそんなチャンスに便乗して彼としっかり目を合わせる。

 いいんだ、彼だってこっち向いてないからわたしが見ていることさえ気付いていないし。

 だけど彼の目線にわたしも入り込めたらいいのに。

 空を見ている彼は、いつもの仏頂面とは違い少し優しい表情に見えた。彼がいる空はまだ太陽の光で明るい。穏やかな彼の表情は、光り輝いてとても眩しかった。

 空はいいなぁ、そんな表情を向けられて。という自然に対する無謀な嫉妬を抱く。

 「帰ろうか」

 わたしはそう言い立ち上がり、スカートについている砂をパッパと手で払った。

 「いいの?まだ一応練習終わってないけど」

 「うん。もうたくさん見られたし。雨も降りそうだし」

 「そう」

 「また来週、付き合ってください」

 「全然いいよ。タダで野球見られるからね」

 まぁわたしはプロ派だけど、なんてケラケラ笑って言う。

 わたしは「アイス奢るから食べながら帰ろ」と提案すると、ガッツボーズする彼女がいた。そんな感情豊かな彼女が、彼と同じように眩しく見える。

 わたしはまだ、グラウンドに入れない。


 
 
 

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